「黄銅・赤銅」について

【黄銅】


黄銅は銅と亜鉛の合金で、350年ほど前から世界中で使われる様になり、 日本でも江戸時代から刀剣装具や煙管などの装身具に使われてきました。

金や銀と違って適度な強度を持ち、現在でもトランペットなどの金管楽器やアクセサリーなど 幅広い用途に使用されております。

銀と同じようないぶし仕上げにより、陰影のコントラストがアンティークな雰囲気を醸し出します。

また赤銅と同様に発色処理(色揚げ)をいたしますと、光沢のある山吹色を発し、 金属とは思えないスタイリッシュな鮮やかさが特徴です。



【赤銅】


赤銅は銅に金を3%~5%混ぜた日本固有の合金で、古くから日本刀の鍔や根付などの装身具や 美術工芸品に盛んに使われてきました。

色揚げと呼ばれる発色処理を施しますと光沢のある紫黒色を放ち、 その漆の様な色合いが独特の高級感あふれる風格を表します。

塗装やメッキと違って合金そのものから発色する色ですので、 キズがついても経年変化による反応で自然と色が戻ってまいります。

われわれ彫銀は、古い文献を頼りに試行錯誤の末、 代々伝わる丹礬(たんぱん)緑青(ろくしょう)大根おろし、重曹などを用い、 江戸時代と全く同じ技法で赤銅の色揚げ法を確立。見事な紫黒色の発色に成功いたしました。

このジャパニーズ・アンティークの代表とも言える素材を復活することが出来ましたのは、 武州伊藤派の末裔として喜ばしい限りでございます。