「鬼」について


鬼について



古来より、日本では建物に鬼面を飾り家の安穏を祈りました。

それが後に、鬼瓦と呼ばれるようになり瓦屋根の四方に取り付けられ、家内安全の守り神として広まっていきました。

寺院の屋根にも数多く見られますが、本来は仏教上では鬼の存在は邪悪なものの象徴であり、 毘沙門天に踏みつけられる天邪鬼が良い例です。


ただ、私見ですが、「毒は毒を以って制する」のことわざに言われるように、 「邪悪には邪悪を」という逆説的な考えから発達したのではないかと考えられます。


すべての煩悩や邪気を振り払うとされている密教法具「金剛杵」などにも 鬼面が入ったものが多く残されており、寺の山門で睨みを利かす「仁王像」と同様に、 鬼という存在がいかに重視されてきたか窺い知ることができます。


鬼瓦の種類は無限に存在し、鬼瓦職人のこだわりが詰まった、まさに日本の芸術品です。

皆様も、寺院参拝の折にはぜひじっくりと鬼瓦を鑑賞していただきたいと思います。